三重県医療ソーシャルワーカー協会　会員のみなさま

新型コロナウイルスは、日本国内においても日々感染者数が増加しており、現在のところ収
束の兆しは見えておりません。当協会会員の皆様の所属機関においても、感染予防対策や
患者受け入れ態勢の構築等緊張の日々が続いていることと存じます。国民の関心や不安が
高まる一方で、インターネットや SNS による根拠のないデマの広がり、感染者に対する偏見や差別的発言、職場や学校でのいじめといった、新型コロナウイルス感染症関連問題が巻き起こっています。

ソーシャルワーカーの重要な機能のひとつに、人々の人権擁護があることは皆様もご承知
の通りです。新型コロナウイルス感染症の国内流行に伴い、三重県内においても、今後、罹患
した患者、家族に対して偏見や差別的な対応がなされる可能性は十分にあると推測されます。
私たちはハンセン病、エイズパニックなどの経験を踏まえながら、医療ソーシャルワーカーとしての価値・倫理を再度確認し、偏見や差別に対して立ち向かわなければなりません。

私たちが実践を行う上で迷ったとき、まず確認するのが倫理綱領です。医療ソーシャルワー
カー倫理綱領の行動基準にはこのように書かれています。
「病気や障害は偏見、差別、排除の対象になりうる。そこで、クライエントが病気や
障害により、差別や排除を受けた場合、そのクライエントの権利の侵害を認識し、権利
の回復、権利の擁護、権利侵害防止に取り組む。」
また、人権に関しても、「医療ソーシャルワーカーは保健医療分野における人権の番人
として常に優れた人権感覚を持ち続けようと努力を続ける」と書かれています。

会員の皆様におかれては、新型コロナウイルス感染症にともなう権利侵害防止に取り組む
姿勢をもちながら、患者やその家族、関係する人々の辛さ、偏見、差別による苦しみに寄り
添っていただき、ぜひこの問題に関心を払い、必要に応じた冷静かつ丁寧な支援を展開して
いただくよう切にお願い申し上げます。

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